優秀な製品と適切な情報で皆様のお役に立ちたい
「畜産の研究」より | ||||||||||||||||||||||||||
―家畜の飼養と微量ミネラル― 微量ミネラル(trace minerals)の家畜飼養上における役割については、生産者、配合飼料業者、獣医師、栄養学者たちが常に関心を寄せている大きなテーマである。家畜における微量ミネラルの適正な摂取と吸収は、細菌ウイルスなどの病原体の感染に対する免疫力の強化、および繁殖能力と発育成長の効率化にとって必須の要件である。 現代の集約畜産では家畜に対する微量ミネラルの適正な補給与が急速にその必要性を強めてきた。その理由は、現代畜産の集約的生産システムが効率的に生産を上げるには、家畜に対する微量ミネラルの適正な投与が不可欠だからである。 家畜における微量ミネラルの状態が不足し始めると、初めのうちは欠乏症状がほとんど不顕性であるが、この不顕性の欠乏状態が継続すると、まもなく深刻なミネラル欠乏症となって家畜の生産性を低下させ、健康上のトラブルを発生させる原因になる(表1参照)。 |
||||||||||||||||||||||||||
―中略― | ||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||
―有機性と無機性のミネラル添加物― 養豚飼料に添加される飼料用微量ミネラルには単純な無機的形状(inorganic form)と複合有機的形状(organic or complexed form) の製品とがある。有機的形状の微量ミネラルはそのタイプによって化学的および構造的に違いがある。 飼料添加用の微量ミネラルには製品によって生物的利用性(bioavailability)に優劣の差がある。複合有機性の微量ミネラルは無機性の微量ミネラルにくらべて家畜における生物的利用性が大であり、したがって有機性微量ミネラルを配合した給与飼料は、無機性微量ミネラルを配合した給与飼料よりも栄養的有効性が高く、家畜の発育成長と繁殖成績の改善に貢献することが証明されている。―中略― |
||||||||||||||||||||||||||
―微量ミネラルの代謝機能― 養豚生産における微量ミネラルの役割をより正しく理解するには、微量ミネラルが豚の生体内の多様な代謝システムとその代謝の機能的要素をつかさどる物質であることを知る必要がある。 微量ミネラルの機能は次の四つのカテゴリーに分けられる。機質的(structural)、生理学的(physiological)、触媒的(catalytic)、調節機能(regulatory)である。 機質的機能とは、生体の組織や器官と臓器を形成する構造要素としての微量ミネラルである。一例をあげると亜鉛(Zn)は分子や膜組織の健全化とその安定に貢献している。 生理学的機能とは、体液や組織内の微量ミネラルが、浸透圧、酸-塩基平衡、および膜浸透性を維持するときの電解質的に作用する機能である。 触媒的機能とは、酵素やホルモンなどの内分泌システムにおける金属酵素の触媒的役割にかかわる働きで、恐らく微量ミネラルの機能のうちでは最も大きな活動分野であろう。微量ミネラルは金属酵素を構成する要素としての役目を働き、そして金属酵素的活動が終わると消去する。この金属酵素の多様な働きは動物の栄養代謝では広範囲な分野にわたって要求されている。たとえば、エネルギー生産、タンパク質消化、細胞増殖、抗酸化作用、および損傷癒着などである。 調節機能としては、亜鉛が遺伝情報(DNA)の転写に関与していること、またヨウ素がチロキシン成分の一つとして甲状腺機能に関与するホルモンと、およびエネルギー代謝などに影響を与える役割を果たしていることが証明されている。 |
||||||||||||||||||||||||||
―家畜の免疫力と微量ミネラル― 微量ミネラルが家畜の健康維持にとって重要な栄養素であることは、過去何世紀ものあいだ広く知られてきた。また研究的にも微量ミネラル栄養素が動物の免疫機能に根強い効力をもっていることが証明されている。―中略―アメリカの配合飼料会社の栄養専門家たちはNRCの編集者たちから、飼料配合のレシピを決定するときの微量栄養素の配合量については、その“安全性の限界”を考慮に入れた上で、なるべくNRC標準の高いレベルを採用すべきだとの注意を受けている。―中略― |
||||||||||||||||||||||||||
以上、「畜産の研究」からの抜粋 |
以上の記事を要約すると、以下の3点になると思います。
1. | 微量ミネラルは、広範な代謝機能に深く関わっている。ここでは4つのカテゴリーに分けて説明しているが、特に重要なのは酵素やホルモンなどの内分泌系における触媒的役割である。 |
2. | 微量ミネラルは家畜の健康維持にとって必要な免疫機能に根強い効力がある。 |
3. | 飼料用微量ミネラルには有機性と無機性のものがあるが、有機性のものが生物的利用性が大である。配合量は“安全性の限界”を考慮した上で、NRC標準の高いレベルを採用すべきである。 |
【1の解説】…恒常性の維持 |
【2の解説】…生体防御システム |
【3の解説】…ミネラルの形態 |
1 | 人間の体を構成する主要元素はC(炭素)、H(水素)、O(酸素)、N(チッ素)の4元素で、全体の96.6%となります。これらは空気と水から由来し、燃焼すると空気と水に帰ります。 |
2 | 準主要元素としては、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、K(カリウム)、Na(ナトリウム)、S(イオウ)P(リン)、Cl(塩素)の7元素で3~4%を占めています。これらは土と海由来のもので、燃焼すると土に帰ります。 |
3 | 微量ミネラルとしては、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)、Se(セレン)、Co(コバルト)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、I(ヨウ素)、F(フッ素)、V(ベナジウム)、Sn(スズ)、Si(ケイ素)の14元素で、わずか0.02%を占めています。これらも土と海由来のもので、燃焼すると土に帰ります。 |
提案 1 | 有機化された良質な土壌改良ミネラル資材を堆肥とともに積極的に利用する。 |
提案 2 | キレート化された良質な微量ミネラル資材を直接家畜に与える。 |
使用例 | |
・ | 養鶏の生産者組織に取り上げられ、その推薦で利用している千葉県のS養鶏場を訪問した際にお話しいただいた内容です。 |
Sさん 「ヒナを導入する際、8種の混合ワクチンを接種するのだが、一般的にはその後、数日はヒナはぐったりと弱ってしまう。しかし接種前にAZMを給与することになってからはこのようなことはなくなり、ヒナは弱ることなく元気に育っている。さらにAZMを成鶏にも導入しているが卵の質が変わり、卵殻も強くなり破卵も減った。」 そこで私はSさんから良い卵の見方を教わりました。 |
|
・ | 北海道留萌管内T町E牧場でのお話です。 |
Eさん 「今まで一頭あたりの乳量を高く搾ってきた。飼養管理には気を使ってきたので、あまり疾病や事故はなかったのだが、最近は今までになかったような事故が起きて困っている」 |
|
・ | 北海道十勝管内N町M牧場でのお話です。 |
Mさんの息子さん 「牛の他に、趣味のシクラメンにAZMを与えたところ、今まで全然咲かなかったものが次から次へと花をつけた。またイチゴに与えたところ、真ん中まで真っ赤で大きな立派なイチゴができ、本当に驚いた。」 | |
・ | 当社温室内での梅の木の回復 |
当社には温室があり、その管理を元林業試験場におられたAさんにお願いしています。その温室には梅の木が2本あり、枯れかかっていたので何とかならないかとAさんに相談したところ、残念ながらもう回復は望めないとのことでした。 私は何とかしたいという一心でAZMを根元に撒き、十分に水を与えたところ、この梅の木はみごとによみがえったのです。Aさんの「いったい何をやったのですか。」との問いに、私は「AZMと水をあたえただけ」と答えました。再度微量ミネラルの重要性を実感しました。 花さかじいさんが灰をまいて見事な花を咲かせた話は、実はすごく化学的な話なのです。 |
※1 | AZMは当社取扱い総合微量ミネラル資材の製品名の略です。100%天然無添加のキレート化されたミネラル資材で、通常のベントナイト製品に比べ2倍のカビ毒吸着効果もあり、さらに有機農業にも使用可能な資材です。米国では億の羽数の鶏に給与され、また書籍「土壌の神秘」にも紹介され世界各国で利用されています。 |
《参考資料》 | |
・ | 「豚の生産性における微量ミネラルの役割」 T.M.Fakler ・ C.J.Rapp ・ T.K.Cheng著、鈴木章訳 畜産の研究、第60巻・第3号、養賢堂 |
・ | 「高カルシウム作物をつくるピロール農法」酒井弥著、 1996年、農文協 |
・ | 「土といのち―微量ミネラルと人間の健康」中島常允著、 1987年、地湧社 |